●当店でレストアを行いましたIさんに、その当時の想いを話して頂きました。
不安でした、どこまで直るのか。
絶えず直していたり、いつ直るのかわからないっていうのはイヤでしたから。
決め手になったのは、営業内容でした。
軽整備、車検、板金、塗装、部品供給これら全てこちらで行っている(この場でできていしまう)ということです。
通常は、各作業ごと外注が多いですよね。客が覗けないんですよ。これってとても不安でイヤなことなんですよね。自分の大切な宝物なのに、どこに行ってるのか、どんなことをやっているのかがわからない。不安ですよね。
レストアガレージは、自分の車が仕上がる様子が、その場でリアルに見れるんですよ。これは安心でした。
言い方を変えれば、技術がガラス張りなんですよ。それだけ自身があるってことなんですよね。
手を抜こうとすればいくらでも抜ける。見えないところで作業して、塗装してしまえば、きっちり板金したのか、とりあえずパテのみで誤魔化したのか、解らないじゃないですか。ここにはそんな不安が必要ありませんでした。その場で見ていられるのですからね。
気に入ってるところがあるんですよ
オーバーフェンダーの部分なんです。通常昔の車ですから部品にしてもきっちり取り付けにくいんですね。建てつけが悪いんです(笑)みんなあわせながら付けてるんですよ。
この車、きっちりぴったり取り付けてあるでしょう。実はオーバーフェンダーに合わせた板金をしてくれたんですよ!
建てつけの悪いところを、パテのみで誤魔化すような仕事はしないんですね。
旧車って嘘が多いじゃないですか。「レストアしました」って言っても、どこまでレストアしたのか?って不安になりますよね。
今の板金屋って、実は交換屋だと思うんです。
ぶつけました、交換です。って取り付け方がわかれば(部品があれば)付けられるってことですよね。
職人って部品がなかったら作り上げてまで仕上げる人だと思うんです。
例えば、直すにあたっては、一度外したものを取り付ける作業が当然出てきます。そこで微妙な調整もしてきっちり仕上げる。
「これでいいや」ということではなくて「ここまでやる」という認識。
客に見られても恥ずかしくない職人魂!
本当に客の身になってくれますよね。
また、技術はどんどん進化してゆきます(板金の)。そこをその時その時の最高の想いで作ってるってのが感じてくるんです。
やっぱり何年経っても、きれいな状態であるのを望みますよね。
サビなくて、いいものを求めます。だから最近はFRPのものも多いですよね。
でも、それでは意味がないんですよ。やはり鉄のよさってのが伝わらない。
私はあえてこだわって鉄で仕上げてもらいました。
鉄で、サビない努力、してくれるんです。
やはり決め手は「安心感」でしょうね。
いつでも見にこれる。見せられない仕事はしません!っていう心意気。
それと、社長が肩を「ポン」とたたいて一押ししてくれたことでしょうか。(笑)
社長も車好きでしょう。わかってくれるんです。相談に乗ってくれますしね。いろいろ打合せを頻繁にやりながら、作ってもらいました。
今やっておいたほうがいい必要な作業、また逆に不必要な作業もアドバイスしてくれました。
例えば「車に負担がかかるので、やらないほうがいい」って感じでですね。本当に車のことを考えてくれるんだって思いました。
そういえば、こんなこともありました。
夜走っていると、急に止まってしまったんですよ。その時まずどうしようかって思いました。
まず、レストアガレージに電話しました。そしたら待っててくれたんですよ、社長と職人さんが。もう営業時間とっくに過ぎてるのにですよ。
そしてすぐに対応してくれました。
実はその時その部品の在庫がなかったんですね。普通「部品が車で預かっておくよ」とか言われますよね。でも、そしたら社長が自分の車の部品を取り外してまでして、何とかしてくれたんですよ。もちろん新品の部品が来るまでですけどね。
わかってくれたんですよ。すぐにでも走りたいって気持ちを。そこなんです。気持ちをわかってくれるんです。
実は、ひとつの「想い」があるんです。
この車、息子の車なんです。
わたしももちろん大好きな車ですから、直したんですけど。この想いを息子が受け継いでくれればって思ってるんですよ。
私も父にやってもらいたかった。だから息子にやってあげたい。
息子もわかってくれてると思います。「オレの車、調子どう?」って感じで会話してますもん。(笑)
それと、これをきっかけに、大きな変化もありました。「物を大事にする気持ち」が出来てきたようです。
今、なんでも壊れたらすぐに取り替えるって感じですよね。でも旧車は簡単に部品が取り替えられないですから。壊れたら大変です。
おのずと慎重に、大事にしますよ。これなんです。息子もなんでも大事にするようになってくれました。とてもうれしいことです。
ミニカー遊びも笑っちゃいました。普通は走らせたりして遊ぶのが多いですよね。うち違うんです。車をジャッキアップさせたり、「タイヤ交換するんだ」ってタイヤ外して並べてたり。(笑)
もっと面白いのが、「オイルってどう取り替えるんだっけ?」なんて聞いてくるんですよ。笑っちゃうでしょ。見てるんですよね。
以前私は、高級車をメインに乗ってました。
見た目もカッコいいし、それなりにステイタスもありました。テレビはついてるし、ガソリン入れれば全く問題なく走るし、全てが整っているって感じですよね。
購入して乗っていると、ガソリンスタンドに入ってもみんな気をつかってくれてました。
「いくらしました?」「よく買えますね」「何をしている方なんですか?」とか言われたました。その時はそれで正直うれしかったのですが・・・
ある日ふと気づいたんです。だんだん人が離れて行ってるように感じたんです。いい車を追えば追うほどそれは強く感じてきました。
そこで「旧車って乗ったらどうだろう」って思いました。昔から興味はあったんですけど。
それからが始まりです。
乗ってみたら解ったことがたくさんありました。まず、人がよってくる!! どこでも話かけられる。
この前も信号待ちしてたら、となりに並んだ車の方に声をかけられました。「いやー懐かしいね。自分も乗りたかったんだよ。」て具合にです。
息子の幼稚園に行った時もありました。そこの幼稚園の園長先生に声をかけられ、また旧車談義に花が咲きました。他の父兄さんにも声をかけられますね。
とにかく仲間って感じですよね。すぐ仲間ができます。(笑)以前の高級車を乗っていたときの「満足感」今はその数倍の満足感、幸福感を感じます。
昔乗っていた方、その時の事情で手放してしまった方、様々です。
でもあの当時の旧車の良さを解ってくれる方がたくさんいるんですね。
35年前の車でも、ノーマルなら一発始動でエンジンがかかりましたよ。
チューニングを望む人、ただ乗りたい人、いろいろいると思う。安心して乗って欲しいですね。
また乗ってみましょうよ!
●Iさん、貴重なお話、ありがとうございました。